難民認定制度の見直しは「真の難民の救済」につながる?その1
難民とは?
難民とは、人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の構成員であること・政治的意見のいずれかの理由によって迫害を受けるおそれがあるために、外国へ逃れてきた人のことをいいます。
日本にも難民はいますが、難民として認められる人数は毎年ごくわずかです。(2017年の認定者数はわずか20人で申請者数のうちのたった0.1%)
平成30年1月15日、近年の難民申請の急増をうけて法務省は新たな難民認定制度の運用を開始しました。ここでは、制度の変更に至った経緯や見直しによって何が変更になるのかをみていきます。
増え続ける難民申請者数
難民認定の手続きは10カ月~数年かかるのが通常です。その長い期間、申請者に対する政府からの支援はほとんどなく、そのままでは申請者の生活を長期間不安定な状態においてしまうことになります。
そこで、政府が導入したのが難民申請の6か月後から就労できるという制度。しかし、就労目的の外国人にとってこの制度は、不法滞在や不法就労をすることなく合法的に働くことができる抜け道となり、悪用されるようになりました。(法務省の発表によると、難民と認定されなかった申請者の申立て内容は、「近隣住民やマフィアとのトラブル」が最も多く、そのうち約66%が借金に関するトラブルとなっているそうです。)
その結果難民申請が急増(平成29年9月末の時点で申請者数は1万人を超え、前年同期に比べて実に約77%増加)し、審査期間も長期化。この状態を改善し、「真の難民の迅速かつ確実な庇護」を推進するため、現行の難民認定制度の見直しがおこなわれることになりました。
見直しによってこう変わる
まず、初回申請の受付後2ヶ月以内に、案件の内容が振り分けられます。
- 難民として認定される可能性が高い人→すみやかに就労可能
- 明らかに難民に該当しない→在留期限後に強制収容または強制退去手続へ
- 再申請→原則、在留期限後に強制収容または強制退去手続きへ
- 失踪した技能実習生や退学した留学生→就労不可
- その他→申請から6か月で就労可能
上記のとおり、「借金を返済していないため、債権者から脅迫をうけた」「マフィアとトラブルになり暴行された」など、明らかに難民に該当しない理由で申請した場合は、日本に滞在することが許可されません。現在保持しているビザ(在留資格)の期限後は新たなビザが与えられず、強制退去手続きに進みます。
また、失踪した技能実習生や退学した留学生、出国期間中に難民申請した人などについては就労が許可されないうえ、在留期間も3月に短縮されます。